2010年秋季低温工学・超電導学会 セッション報告

12月1日(水)
A会場 9:00-17:45

HTS線材評価 1A-a01-07 座長 大松 一也

本セッションでは、線材の電磁気的特性評価を中心とした7件の報告があった。
永田(鹿児島大)らは、Gd系線材のマルチフィラメント効果を検証する測定システムの妥当性検証のために、幅1 mmのGd系
線材を5本並べた模擬線材を用いて、ピックアップコイル群による測定磁場分布から電流分布を算出し、実際の通電電流と
の比較を実施した。通電電流の算出値と実測値はよく一致し、測定システムの精度が確認された。今後、実際のマルチ
フィラメント化された線材評価を期待したい。
東川(九大)らは、Bi-2223コイルと走査型ホール素子顕微鏡を用いた測定システムを用いて、マルチフィラメント化された
RE-123線材内の電流分布の評価結果を報告した。磁界分布から算出した電流分布や電流密度分布から2次元面内での臨界
電流密度分布が精度よく得られること、幅方向の電流値積算により各フィラメント毎のIcの長手方向分布を評価できる
こと、線材のエッジ部分のIc低下の様子が100ミクロン以下の分解能で得られることが報告され、交流電力機器用線材の加工
技術の確立や品質管理へ貢献できる研究成果となることが示された。
塩原(九大)らは、TFA-MODプロセスで作製されたY系線材を対象として、プロセスへの迅速なフィードバックを目指した
非接触・非破壊手法である磁気顕微鏡による定量評価結果を報告した。特に結晶成長過程で重要となるガス流の方向とJc
特性分布との相関を明らかにして、線材作製プロセス改善へ向けた有効な評価であることをPRした。
前原(鹿児島大)らは、高温超伝導電流トランスを用いた高温超電導大型導体の通電特性測定結果の一例を報告した。電流
トランスはBi-2223線材を巻線に用いており、50 A程度の小容量電源で77 Kにおいて1 kA級交流電流を通電できる優れた
ものである。今回の報告ではトランスと試料の接続においてインジウムシートを挟んだ構造で面圧と接触抵抗の相関を調査し、
接続方法の有効性を確認したとの報告であった。
八重山(鹿児島大)らは、多層ソレノイドコイルの交流損失を評価するために、コイル巻線の内側と外側に配置した電界測定用
ポテンシャルリードと磁界測定用ピックアップコイルを用いて、電界と磁界の外積からポインチングベクトルを求める方法を
提案した。具体例としてBi-2223長尺多芯テープ線材を用いたサンプルコイルを対象とした測定結果の中間的な報告があったが、
測定精度や他の評価方法との違いなどに関して質疑がなされた。
星野(東北大)らは、三相同一軸ケーブルを対象として、HTS線材の通電電流と位相が異なる外部磁界下での交流損失特性を、
電気的手法を用いて実験的に評価した。実験では、交流損失の位相差依存性を詳細に測定した結果を示しながら、解析結果
との比較検討で損失が最大・最小となる条件を明らかにした。現状、国内では三相同一軸ケーブルの研究はほとんどなされて
いないため、比較的目新しい成果であると思われる。
馬渡(産総研)は、海外で最近提案された薄肉の中空円筒形状をもつ高温超電導線材を対象として、超電導層の厚さが線材半径
より十分小さい超電導管状線材に横磁場と印加した場合の電流・磁場分布および交流損失について、臨界状態モデルを基に
理論解析を行った結果を報告した。
本セッション全般を通じて、HTS線材およびそれらを用いたコイルやケーブルの実応用を想定した様々な電磁環境条件での
具体的な評価やシミュレーションが確実に進展している印象を受けた。大学や研究機関での評価が産業界における開発と連携
することで実用化に向けたHTS線材の研究開発の加速がなされている雰囲気が感じられ、初日の最初のセッションながら活発な
議論がなされた。


HTS線材機械特性 1A-a08-12 座長 土井 俊哉

本セッションでは、RE系線材の機械的特性や臨界電流の歪効果などに関して5件の発表があり、活発な議論がなされた。
1A-a08:山田ら(SRL)は、ISTEC製IBAD-PLD-GdBCO線材、フジクラ製IBAD-PLD-GdBCO線材、昭和電線・フジクラ製
IBAD-MOD-YBCO線材、住友電工製配向金属基板-PLD-GdBCO線材、及びISTEC製IBAD-PLD-GdBCO線材、昭和電線・
フジクラ製IBAD-MOD-YBCO線材、住友電工製配向金属基板-PLD-GdBCO線材に銅めっきを施した7種類の線材について、
低温中で連続的に曲げ(戻し)を加えて、所定のひずみ状態における臨界電流の測定を行い、何れの線材も応用上曲げ
に対して問題は無いことが確認できたと報告した。
1A-a09:戸坂ら(東芝)は、IBAD-Y系線材のテープ面垂直方向への応力による剥離強度の測定とワイブル分布を仮定した
解析を実行し、剥離強度のメーカー公表値以下の応力で超伝導コイル内で線材の剥離が発生する原因が、剥離強度の
不均質性にある可能性を指摘した。
1A-a10:菅野ら(京大)は、Y系線材において塑性変形を考慮した応力-歪関係に基づく応力のつり合い条件から中立軸位置
を数値計算によって求める手法を提案し、提案手法と放射光により実測した内部ひずみの値が一致していることを示した。
更に、Icの曲げ半径に対する依存性が異なる2つのY系線材について、中立軸位置を考慮して曲げ歪を求め、2つのY系
線材のIcの曲げ歪依存性を比較すると、両者は非常に良く一致することを示した。
1A-a11:峰岸ら(東北大)は、IBAD-PLD-GdBCO線材とIBAD-CVD-YBCO線材の4.2 K及び77 Kにおける磁場中でのIc
引張り歪依存性を詳細に測定し、Icに対する歪効果に温度と磁場が与える影響について報告した。
1A-a12:藤本ら(鉄道総研)は、GdBCOバルク体の作製に際し、酸素中で溶融させた後に大気中で結晶成長させる二段階
雰囲気調整熱処理法を施すことで、気孔率の低い緻密なバルク体が得られ、曲げ強度が向上することを報告した。


Y系線材(2) 1A-p01-08 座長 山崎 裕文

1日午後のポスターセッション後のオーラルセッション「Y系線材(2)」では、8件の発表が有った。
鹿児島大学の土井らは、配向 Cu と SUS316 テープを貼り合わせ Ni メッキした複合テープ上に、PLD法で CeO2/YSZ/CeO2
あるいは CeO2/Y2O3/CeO2 バッファ層を形成し、その上に YBCO 膜を作製している。
Y2O3 層は酸素の拡散を抑制すること、1 μm 厚で 2.1 MA/cm2Jcが得られたことを報告した。
住友電工の本田らはクラッド基板上にPLD法で GdBCO 膜を作製しているが、中間層の成膜に電子ビーム蒸着法を用いることで
表面平滑性が向上し、約 20 m の長尺に亘って Ic > 400 A/cm を得たことを報告した。
関連して住友電工の小西らは、30 mm 幅の膜からスリットによって作製した 4 mm 幅線材の特性や均質性について報告した。
名大から Nd:YAG レーザーを用いた PLD 法による YBCO 薄膜作製に関して2件の発表があり、一野らは、基板—ターゲット間に
置いたスリットを高速移動させるコンビナトリアル法により、人工ピン導入の添加量依存性を短時間で評価できることを報告した。
最後に超電導工研から3件の発表があり、町らはレーザースクライビング加工の歩留まり向上について報告した。加工後の線材の
機械的特性に関して質問があり、樹脂で補強するとの回答があった。中岡らは、TFA-MOD 法による YBCO 膜作製における
結晶成長機構を調べて、Baプアーな組成で特性が向上する理由を説明した。


12月1日(水)
B会場 9:00-19:15

回転機 1B-a01-04 座長 塩原 亮一
1B-a01:牧(東京海洋大)
発表:5 MW風力発電機に高温超電導コイルを適用した場合の試設計に関して発表があった。
質疑:超電導発電機の重量低減の要因に関して質問があり、磁束密度を1.5T→2Tにすることにより重量低減
できている旨の回答があった。
1B-a02:小柴(東京海洋大)
発表:風力発電機の高温超電導界磁巻線の発熱量評価に関して発表があった。
質疑:発熱量を検討する上で、最大磁場で検討したのかとの質問があり、3D解析により各々の位置で磁場を
評価し検討した旨回答があった。
1B-a03:福井(京大)
発表:高温超電導コイルを使用した20 kWモータの実機通電特性試験結果に関して発表があった。
質疑:定格電流の到達前にひげ電圧が発生しているが、この発生の原因に関して質問があり、現段階で原因
不明の回答があった。現在開発の途中であり、開発完了段階での発表が期待される。
1B-a04:秦(鉄道総研)
発表:発表内容は超電導でない一般の電車用主電動機の仕様紹介であったが、このような発表があると超電導
機器を開発する上で、色々な検討条件や制約条件が判るのでこのような発表が多数有ると良いと感じた。
質疑:ダイレクトドライブモータが使われているのか質問があり、ダイレクトドライブはいくつか厳しくなる項目が
あるため、少ない旨の回答があった。


電気機器(1) 1B-a05-07 座長 白井 康之


流体磁気 1B-a08-12 座長 小原 健司

1B-a08 林 信吾(阪大):水の約1万倍の粘度10 Pa・sの高粘性流体から粒径20μm、飽和磁化0.72 TのSUS304
粒子への高勾配磁気分離適用条件が計算された。一例は50段フィルタに流速10.8 m/時で通じると回収率は93%、
圧力損失については検討課題とのこと。会場からは磁気力吸着とは異なる工夫が必要との意見が出された。
1B-a09 赤澤 輝彦(神戸大):MHD型海水/油分離装置内の塩素イオンへのローレンツ力計算モデルを構築した。
塩素イオン濃度変化に磁気力を取り入れたNernst-Plankの式、海水運動に塩素イオン移動を考慮したNavier-
Stokesの式を設定し、有限要素計算を実行した。その結果、10 T磁場印加でMHDチャネル両端に渦形成があり、
分離性能低下が明らかになった。
1B-a10 笠原 奉文(電中研):2軸(トルネード)電磁攪拌装置を製作し、溶融ガリウムを用いた実験で攪拌効果を確か
めた。すなわち、水平面内回転力に垂直力を加えると、容器壁上方への液面上昇を抑えることができた。メリット
への質問があり、回答は材料凝固開始点を中心付近にでき、細粒界を持つ高品質製品の生産が可能になること。
1B-a11 岡田 秀彦(物材機構):磁気浮上利用のタンパク結晶作製におけるバックグランウンド溶液の対流を
流体解析ソフトで計算した。高さ1cmの水の上部と下部で0.1度の温度差のある場合、B・∇B=-1,350 T2/mの
磁気浮上条件下でも、その水の温度分布に起因する磁化分布が対流発生原因になると紹介された。
1B-a12 BUI Anh Kiet(神戸大):磁場内のヘリカルチャネルに海流を通じて実現されるMHD発電の出力電力と圧力
損失を実験で評価した。回転数、回転ピッチ長さ、内直径を各3種類ずつ設定し、最適チャネル形状を探索した。
その結果、7回転、37.5 mm、30 mmを得た。最大出力は、磁場12 Tと流量40m3/時で12 Wであり、効率は1%であった。


加速器 1B-p01-07 座長 大崎 博之

本セッションでは7件の発表があり、前半の4件が国際線形衝突型加速器(ILC)用クライオモジュールに関する
発表であった。
1B-p01:大内(高エネ研)からはS1-Globalクライオモジュールの試験計画・建設及び冷却試験について、
1B-p02:近藤(高エネ研)からはS1-Globalクライオモジュール計測システムについて、
1B-p03:大内(高エネ研)からはS1-Globalクライオモジュールの2 Kでの定常熱負荷測定について、
1B-p04:土屋(高エネ研)からはヘリウムガス回収配管の冷却時変位計測についてそれぞれ報告があった。
続く後半の3件がJ-PARCニュートリノビームライン用超伝導磁石システムに関する発表であった。
1B-p05:中本(高エネ研)からは超伝導磁石システム全体とトラブルシューティングを含めた運転状況ついて、
1B-p06:木村(高エネ研)からは超臨界圧ヘリウム輸送システムの設計・製作並びに性能試験結果について、
1B-p07:岡村(高エネ研)からは28台の超伝導磁石全てがクエンチした時の超臨界ヘリウムの圧力上昇に関する
試験結果と計算結果についてそれぞれ報告があった。


ITER 1B-p08-14 座長 柳 長門

国際熱核融合実験炉ITERのマグネットについて、原子力機構から7件の発表があった。
トロイダル磁場(TF)コイルについては、Nb3Snケーブルインコンジット導体の調達が進行しており、日本は担当各極
の中で最も早いペースで、素線56トン以上、実導体10本を完成させている。また、構造物の調達に向けて、中および
実規模の試作を開始している。中心ソレノイド(CS)コイルについては、Nb3Sn導体すべてを日本が担当し、2011年より
調達が開始される予定となっている。【1B-p09、小泉】
TFコイルについて3分の1規模の模擬巻線が行われている。レーザーマーカーを用いた正確な導体長さの測定とSS曲線を
もとにした3点ベンダーの調整を行うことによって、ラジアルプレートを模擬した構造に精度良く巻線を入れ込んでいる。
実際のコイルでは導体に熱処理を施すため、導体長の変化やSS曲線の変化をもとに調整を行い、精度を確保する方針と
説明された。【1B-p10、松井】
ラジアルプレートの製作では、日本とEUで異なる方法の検討を行っている。日本は10分割した熱間圧延セグメントを
機械加工した後にレーザー溶接で組み立てる案である。この場合、溶接による収縮が-0.6 mm程度出る。質疑において、
LHDでは支持構造物の溶接時に未溶着部を設けることで精度を確保した旨のコメントがあったが、現状、それを採用しなく
ても許容範囲に入るとのことである。【1B-p11、高野(代理:小泉)】
 巻線絶縁には耐放射線性に優れたシアネートエステルとエポキシを混合して真空含浸がなされ、モックアップを用いた
試験で良好な結果が得られている。サンプル調査でガラスが綺麗にはずれすぎている印象が指摘されたが、実機では表面に
ブラスト処理等を施す計画と回答があった。【1B-p12、辺見(代理:松井)】
構造物には、極厚の高強度・高靱性ステンレス鋼が用いられる。実規模試作が行われ、完全オーステナイト系TIG溶接ワイヤ
を用いた片面狭開先溶接について入念な検証が行われている。【1B-p12、千田(代理:井口)】
 構造材料としては、高マンガンステンレス鋼と窒素強化型ステンレス鋼が用いられるが、鍛造材サンプルの引張試験、
破壊靱性試験、き裂進展試験等が行われ、要求値を満たす結果が得られている。【1B-p13、井口】
CS導体のサンプルはスイスのSULTAN装置で臨界電流測定が行われ、合格基準を満たしている。ただし、1000回以上の繰り
返し励磁や加温後の再冷却によって分流開始温度が低下する事象が確認されている。これはTF導体と類似であり、ITERの
励磁回数と冷却回数に対して許容される範囲内と想定されるが、サンプル固有の問題かどうか、早急に原因を解明すること

12月1日(水)
C会場 9:00-19:15

磁気冷凍機 1C-a01-07 座長 春山 富義

1C-a01:宮後(阪大)らによる報告で、20 K付近でも高い効率が期待できるものとしてΔS測定結果が示された。
(Q)球状物質の比熱測定法は?
(A)PPMS-6000を使い3つの球で行なった
(Q)窒化処理後の表面が変色しているが表面熱伝達に影響しないか?
(A)酸化物だろう。磁気特性には影響なかった
1C-a02:朱(金沢大)らによる報告で、20K-80Kでのコバルト稀土類の製作と測定を行なった。
(Q)Was the density of material measured?
(A)Not measured yet.
(Q)Will be applied in a real refrigerator?
(A)First performance result this time. Probably, next step.
1C-a03:西村(金沢大)らによる報告で、こちらも20 Kでの水素液化を考えた材料開発である。
(Q)試料は多結晶になっているのでは?結晶軸を合わせる必要等は?
(A)本誌料は異方性が無いものと考える。軸を揃えると有効なのかどうか明確ではない。
1C-a04:服部(千葉大)らによる外部ガス駆動式20 K付近冷却の装置開発である。
(Q)高温端と低温端の温度分離が悪いのは?
(A)ロットが太く短いからか。改造をする。
(Q)試料充填場所の磁場は?
(A)1-6 Tである。
1C-a05:李(NIMS)らによる磁気冷凍機再生器形状に関する数値計算である。
(Q)Is a flat shape plate regenerator already available?
(A)Yes, it is commercially available.
1C-a06:坂本(千葉大)らによる室温磁気冷凍機の計算結果の考察である。
(Q)蓄冷器内に常に留まっているガスは何%程度?
(A)1/3位である
1C-a07:下地(東工大)らによる室温磁気冷凍機の高周波運転時の特性評価である。
(Q)磁石の連続回転方式によるトルクの低減値は?
(A)実測で1/3~1/4程度であった。


冷却要素技術 1C-a08-12 座長 達本 衡輝

1C-a08 増山(大島商船高専):蓄冷材にステンレスメッシュを積層させた場合の冷凍能力をメッシュサイズや線径の
影響をNISTのREGEN3.3を用いて評価し、同一メッシュサイズでも線径が大きくなると性能が向上すると報告した。
1C-a09 河原(中部大): 建設した200 m級超伝導直流送電実証実験装置のペルチェ電流リードの温度分布を計測し、
数値計算と比較した。数値解析により最適化を行ったと報告した。
1C-a10 横山(三菱電機): 10積層のアルミ蒸着フィルムとネットスペーサを用いて、アルミフィルム厚さをパラメータ
として多層断熱材(MLI)の性能試験を実施した。熱侵入はアルミフィルム厚さの影響はみられないが、抵抗比に依存
することを確認したと報告があった。
1C-a11 藤村(阪大): レーザ核融合のターゲットに固体水素燃料を充填する方法を提案し、その固体燃料内の気泡と
固体水素の屈折率の違いを利用した評価方法を開発し、実験により固体水素の充填率を評価することができ、98%の
充填率を実現できたと報告があった。
1C-a12 岩本(NIFS): ANSYSを用いたレーザ核融合のターゲットの熱応力、熱収縮解析に関する報告があった。シェルと
コーンの接着部に最大応力がかかっているため、エポキシ樹脂による接着部の改良が必要であると報告した。


NMR/医療 1C-p01-04 座長 戸坂 泰造

1C-p01 長谷(神戸製鋼):1.03 GHz-NMRマグネットの開発を進めており、Bi-2223の最内層コイルとNb3Snコイルと
組み合わせて15 Tの発生に成功したとの報告があった。今後、NbTiコイルと組み合わせて24.2Tを目指す予定である。
1C-02,03 松本(物材機構):REBCO線材を用いてコイルを高電流密度化することでNMR磁石を小型化するプロジェクトを
進めており、評価用REBCOコイルの製作、試験結果の報告があった。REBCOコイル設計に関しては、コイル保護の観点で
どの程度まで高電流密度化が可能かについて議論があった。また、評価用コイルの製作、試験結果については、低い
負荷率でクエンチ、焼損した#1コイルに関して、クエンチが発生した原因、クエンチ発生および保護時の状況などに
ついて活発な質疑応答があった。
1C-04 今井(岡山大):小型NMRを目指して積層構造をもつ高温超電導バルク体の研究を進めており、その捕捉磁場特性
について報告があった。現在は、同じサイズのバルク体を用いて実験、解析を進めているが、ボア空間を球形にすること
でよりロバストな設計が可能ではという質問に対し、今後検討するという回答があった。


熱伝達/沸騰 1C-p05-09 座長 神谷 宏治

1C-p06:垂直円管内超臨界水素の強制対流熱伝達:達本ほか(原子力機構)
超臨界圧の条件下で臨界温度以下の水素が加熱垂直円管を上向きに流れる場合の熱伝達率測定の報告があった。水素が
超臨界温度よりはるかに低い(21 K)場合と超臨界温度に近い(30 K)場合の測定結果とその表示式の報告があった。また
入り口温度から温度上昇が大きい領域では熱伝達率が振動するデータが観測され、その原因は今後解析する予定である。
1C-p09:微小重力下におけるHeII膜沸騰の蒸気膜挙動:高田ほか(筑波大)
サブクール度が存在しない条件下での沸騰実験の報告があった。落下塔を用いた微小重力実験は、1.27秒間継続する
0.001 G以下の重力下で行われ、沸騰現象の測定には、十分に長い時間であることが確認された。報告では、微小重力
では非常に大きな膜蒸気を形成することや、臨界熱流速が1 W/cm2程度であることが明らかにされた。


冷却システム(2) 1C-p10-14 座長 岩本 晃史

1C-p10 武田(東大): 脳磁計用低ノイズヘリウム循環装置のうち汎用の挿入口に使用可能な管径1/2インチの多重トランス
ファーチューブの開発に成功し、必要な性能を実証した。そのトランスファーチューブを採用した循環装置は名大においても
採用されることが決定している。
1C-p11 川井(KEK): 既存の超伝導ソレノイドを流用し、冷凍機冷却による二重ベータ崩壊測定器用無冷媒超伝導ソレノイド
へと改造を行った。そのシステムの冷却試験及び励磁試験結果について報告した。今後、冷却系などの完成度を高め、必要な
仕様を満足する。
1C-p12 中田(東工大): 窒素ヒートパイプの熱輸送限界について、フラッディング限界特性に着目し評価を行った。実験と
計算による検討を行うなど、今後の研究の発展が期待される発表であった。
1C-p13 玉田(中部電力): 冷凍機を利用したガス循環による伝導冷却型コイルシステムを開発している。~20 Kのヘリウム
ガスを循環させ、コイルに取り付けた伝熱板を冷却し、導体を冷却するシステムである。この冷却方法の有効性が確認された。
1C-p14 大野(前川製作所): 液体窒素冷却高温超電導ケーブル用冷却システムの単体運転試験結果について報告した。1 kW級
スターリング型冷凍機を6台使用するなど高信頼性運転を実現する構成になっている。実際の運転を模擬した温度変動などに
対する冷却システムの安定性実証を行った。


12月1日(水)
D会場 9:00-19:00

MgB2(1) 1D-a01-07 座長 松本 明善

1D-a01:宮野(鹿大)は20 Kでの伝導冷却環境における超伝導導体の特性評価のためのマグネット空間およびサンプルホルダーの
検討結果について報告を行った。より均一温度を達成するために同派貼り合わせたホルダーの作製を起こっていることを報告した。
1D-a02:井上(九大)はMgB2線材を用いた液面計開発の現状について報告があった。以前の報告でCu-Niシースを使った報告が
あったが、今回はSUSシースを用いた検討を行い、液位と出力電圧の対応が1:1になっていることを確認した。その結果、液面計
として正常に動作する可能性を示した。
1D-a03:柁川(九大)は新しい原理に基づく液面計の数値シミュレーションについての報告があった。上記で問題になっているのが、
タンク内のガス圧力が上昇したときに正確に読み取れない可能性が示唆されていた。本報告ではリファレンシャルの抵抗体を用意し、
読み取る方法が提案された。
1D-a04:山本(東大)はチルト薄膜を用いてJcを含めた超伝導特性評価を行った。HPCVD薄膜を利用してπバンドとσバンドの電力
輸送特性について評価を行った。その結果、JcLab面を流れる電流)は温度磁場に寄らず、JcT(垂直方向にab面とc軸方向の
両方を流れる電流)より大きくなることを報告した。
1D-a05:一木(日立)は超伝導接続の結果を示した。線材端部を未反応のMgとBを詰めたSUS管に入れ、線材と一緒に熱処理を
行った。その結果、加圧焼成等を加えることによって良好な接続を達成したと報告した。
1D-a06:久家(九大)は交流損失の結果において新たな線材形状を用いた場合の交流損失提言を行った。従来の線材を液体水素下
で動作する超伝導モータに使用した際に大きな交流損失ロスが報告されてきた。本研究では中心部に低抵抗導体、シースとの間
にバリア材を導入した線材形状を提案し、シミュレーションにより良好な結果が得られることを示した。
1D-a07:文(鹿大)はコイルを作製して交流損失の評価を行った。その結果、ヒステリシス損失が支配的であり、低電圧領域に
おいてはCuの渦電流損失も確認されたことが報告された。


Nb3Al線材 1D-a08-12 座長 長谷 隆司

Nb3Alのセッションでは5件の報告が行われ、いずれも過飽和固溶体からNb3Alを変態生成するプロセスに関するものであったが、
1件が通常のジェリーロール法ではなく、A15の粉末を出発原料にしたものであり、2件が過飽和固溶体線材を多数本組み込んで複合化
する再スタック法に関するものであった。粉末を出発原料にすればジェリーロール法に比べて加工性の向上が期待できる。
Nb3Alも含めてV3Ga、Nb3(Al,Ge)、Nb3Ga、Nb3Geに関して、粉末を出発原料にして過飽和固溶体を作製した場合のA15生成の結果に
ついて報告がなされた「1D-a08:井上(NIMS)」。まだ詳細な検討はできていないが、特にNb3(Al,Ge)に関してはA15生成後のTcが高く、
本プロセスの活用が期待される。
通常のジェリーロール法の線材については、Cuバリア付き六角シングル材のTa層厚さを増加してNb/AlフィラメントへのCuの拡散を防止する結果
「1D-a09:竹内(NIMS)」と、マトリックス材とCuメッキの有無の条件を変えたサンプルのNb3Alの格子歪みを中性子回折によって測定した結果
「1D-a10:金(KEK)」が報告された。前者では、Cuバリアでクラックの進展が抑制され、フラックスジャンプも4.2 Kおよび1.8 Kで抑制されている
ことが確認された。後者では、J-PARCの中性子ビームライン「匠」を用いて評価した室温における線材軸方向のNb3Al圧縮歪みがモデル計算と良く
一致することが報告されたが、横方向の歪みも考慮したモデルでの計算との比較が望まれる。
再スタック法に関しては、100 m級長さの長尺試作の結果「1D-a11:中川(日立電線)」と微細組織観察の結果「1D-a12:伴野(NIMS)」が報告された。
過飽和固溶体は加工硬化するが、非超電導相の生成を防ぐために中間焼鈍できないので、限界の加工率を考えると最終フィラメント径によって最初の
仕込みの過飽和固溶体フィラメント径を考慮する必要がある。今回の再スタックの銅管は10 m長であったが、さらに長尺化を目指すために銅管をさらに
長くする方向で対応する計画。再スタック法では、過飽和固溶体に強加工が加わるので、A15変態後の結晶粒サイズが小さくなることにより、結晶粒界が
ピンニングセンターであれば臨界電流密度の向上が期待できる。微細組織分析の結果、狙い通りNb3Al結晶粒は微細化したが、化合物当たりの
臨界電流密度の向上は見られなかった。結晶粒内には板状欠陥が見られ、これが主たるピンニングセンターである可能性がある。


MgB2(1) 1D-p01-09 座長 春田 正和

 本セッションではMgB2バルクに関して3件、MgB2線材に関して6件の報告があった。
田中(東大)らはex-situ法によるバルク体の作製において、MgB2粉末をSUS管封入後に900℃程度の高温かつ48~100時間程度の長時間熱処理を
施すことにより、コネクティビティおよび充填密度が向上しJcが向上することを示した。
富田(鉄道総研)らは20 mmφのバルク体を作製し、13 Kで1.5 Tの捕捉磁場が得られたことを報告した。
山本(筑波大)らはバルク体の作製において750℃、400 kg/cm2のホットプレスにより、Jcがホットプレスなしに比べ約3倍向上することを示した。
金澤(東海大)らはMg外部拡散法により線材を作製し、4.2 K、5 TにおいてJc=3700A/mm2が得られたことを報告した。
熊倉(物材機構)らはMg(内部)拡散法により線材の作製を行った。多芯化により640℃で1時間の熱処理といった低温・短時間で約105A/cm2Jc
得られ、また反応相のVickers硬さは約1300であり高密度のMgB2が形成されていることを示した。
嶋田(九大)らはMg拡散法により作製された線材のSEM観察を行った。640℃で熱処理した線材では結晶化MgB2が線引き方向に沿って一様な厚さ
で分布しているのに対し、800℃で熱処理した線材では結晶化MgB2が不均一に分布していることを示した。
in-situ法によるMgB2/Nb/Monel線材のJcに関して日大から2件の報告があった。鈴木らはビタミンCの添加によりJcが向上すること、線径が小さい
ほど高いJcが得られることを示した。尾崎らは同線材の作製において粒径の大きなMg(3-5 mm)を用いるほどJcが高いことを示した。
松本(物材機構)らはテープ線材の作製においてホットプレスにより、緩やかなc軸配向がみられることを示した。また、興味深い現象として、
30 Kの高温領域においてJcの異方性が逆転することを報告した。


鉄系超伝導体 1D-p10-13 座長 木内 勝

1D-p10 下山(東大): ブロック層が厚い(Fe2As2)(Ca6(Al,Ti)4)O12)焼結体を作製し、鉄ニクダイド系超電導体の
ブロック層と臨界電流密度Jcの関係を詳細に調べた。低温ではJcとブロック層の厚さとの相関はほとんどなく、
JcはFe2As2層のみで決定していることを示した。また不可逆磁界はBi-2212酸化物超電導体と同程度もしくは
それ以下となり、本質的にブロック層が厚い鉄ニクダイド系超電導体のピンニング特性は悪いと指摘した。
1D-p11 山本(東大): 異なる3つの熱処理方法で作製したSmFeAsO0.85F0.15多結晶バルク体の結晶組織と
粒間電流密度について調べ、HIP熱処理により不純物相が少ない緻密なバルク体が得られことを示した。ただし、
このHIP処理試料のJcは、オキシニクタイド多結晶体が持つ弱結合の影響と臨界温度Tcの大きな劣化から、
高い値が得られないと指摘した。
1D-p12 筑本(ISTEC): 機構Fe122単結晶にCo及びPを置換した場合のJc特性への影響について調べた。特に
Ba(Fe1-xCox)2As2x=0.1の場合のTc及びJcが高く、中磁界領域でY系と似たような緩やかなJcのピークが現れる
ことから、鉄系においてもY系と同様なピンニング機構が作用している可能性を指摘した。尚、P置換ではJc
ピークは現れないことも示した。
1D-p13 尾崎(NIMS): ex-situ及びin-situ PIT法を用いてAsを含まないFeTeSeの線材を作製し、特にex-situ法の
250℃熱処理で最高のTcが得られることを示した。ただし、現在得られている線材のTcは最高で15 K程度と
まだ低く、応用へ利用するためにはTcの向上が必要不可欠であり、今後の進展に期待したい。


12月1日(水)
P会場 ポスターセッションI 14:20-15:30

計測・物性 1P-p01-07 座長 岡村 崇弘

1P-p01 野村ら(岡山理大)金属のヤング率と減衰の温度変化測定: ヤング率の測定はバイブレーティングリード法を
用いて行われている。ヤング率の温度・純度依存性の測定結果ならびに高純度Al(5N and 6N)の減衰率に関して150 K近傍
にピーク(ボルドーニ・ピーク?)が存在することについて報告がなされた。
1P-p02 山田ら(岡山理大)擬一次元構造をもつカルコゲン化合物超伝導体の比熱測定: カルコゲン化合物の超伝導転移
機構を明らかにするために比熱の温度依存性の測定が行われている。測定には希釈冷凍機が用いられ、低熱容量試料の
比熱を高精度に測定するための種々の工夫等も含めた報告が行われた。
1P-p03 平岡ら(熊本大学)希釈冷凍機用NMR共振回路の改良: 希釈冷凍機を用いてmK領域での強磁性体の磁気秩序
の研究に必要な共振回路の改良に関して数値計算と実験に関する報告が行われた。
1P-p04 重松ら(佐賀大・九大)Vibrating Reed法による水素拡散状態の観察: 金属内水素拡散挙動に関する実験的研究の
発表であった。液体窒素雰囲気以下では水素拡散にトンネル効果の影響が寄与する可能性などに関する報告がなされた。
1P-p05 寺島ら(佐世保高専)液体ヘリウム中でのカーボンナノチューブの生成実験および生成シミュレーション カーボン
ナノチューブの生成過程をMDを用いて検討した結果に関する報告が行われた。
1P-p06 寺内ら(北大)シールド付ダイレクトカップル型HTS dc-SQUIDマグネトメータの特性解析: 3次元FEMを用いた
電磁界解析により超伝導薄膜シールド効果の影響を調べた結果について報告がなされた。
1P-p07 山田ら(鉄道総研)光ファイバ内視鏡を用いた極低温機器内の視覚モニタリング方法の開発:発表では20 Kの環境
下で超伝導線材が焼損する状況などを観測し、可視化システムに問題がないこと等についての報告が行われていた。


冷凍機 1P-p08-12 座長 中込 秀樹

本ポスターセッションでは磁性蓄冷材に関する発表2件(大島商船高専・NIMS、東工大)、並列パルス管冷凍システムの
開発に関する発表2件(鉄道総研・エアウオーター)、振り子を用いた超低温冷凍機の除振とその計測(東大・新潟大)の
計5件の発表がなされた。
磁性蓄冷材式冷凍機は既に実用化されているが、今後もシミュレーションならびに実験的研究による冷凍機の設計手法
並びに基準の確立に向けた研究開発の継続が強く望まれる。リニア向けの冷凍システムとしての並列パルス管冷凍
システムは応用システムを特定した中での最適化の提案であり、いろいろな超伝導システムの実用化に伴ってこのような
研究開発は今後重要となる。一方、超低温冷凍機に関する研究は低温物理のフィールドでの新たな試行であり、今後の
研究の進捗が期待される。


冷却システム(1) 1P-p13-17 座長 中納 暁洋

12/1午後のポスターセッションI、冷却システム(1)では計5件の発表があり、その内の3件は中部大学の200 m級
超電導直流送電ケーブル実験装置に関連した発表であった。
イワノフら(1P-p13)からは液体窒素の自然循環を用いた冷却システムについての圧力損失測定結果と半経験式との
比較、及び熱伝達特性についての報告、渡邉ら(1P-p16)からは断熱二重管の真空排気実験結果についての報告があり、
実規模システムにおける真空排気問題が提起された。また、杉野ら(1P-p17)より断熱SUS二重管についての熱侵入
測定に関する報告があり、会場より実規模にスケールアップした際、熱侵入低減は重要な課題であるとのコメント
が出ていた。亜鉛メッキを施すと低コストで熱侵入量が抑制できるという主旨であったが実規模ではコスト面の
制限から全てをSUS管で構成することは非常に困難と考えられる。鉄管に亜鉛メッキを施した試験など更なる研究の
進展が期待される。その他に高ら(1P-p14)より韓国における高温超電導SMESのマグネット冷却に関する数値解析結果
の報告、また、東工大と鉄道総研の共同研究として、安藤ら(1P-p15)からリニアモーターカーへの応用を目指した
高温超電導コイルの冷却・保冷に関する研究報告が行われた。通電状態での熱的振舞いに関する質問に対し現段階
はまだ実機を模擬したモデルでの検討との回答であったことから今後の研究の進展が期待される。


磁気応用 1P-p18-20 座長 笠原 奉文



Bi系線材(1) 1P-p21-25 座長 菊地 昌志

1P-p21 吉村(鹿児島大): Bi2223薄膜の作製方法と薄膜特性について報告した。適切なターゲット組成を選択することで、
化学論組成に近い組成を持つBi2223薄膜の作製に成功している。XRDでは Bi2223単相を示す回折パターンが得られた
ものの、Tc=72 Kと材料本体の物性よりも低い超電導性を示している。
1P-p22 川嵜(九大): 線材中央に絶縁層を配置した、新しい形態の低交流損失構造が提案された。通常構造に対して
結合損失が1/23に低減されていることが観測されており、狙いとした効果が確認されている 。Icをさらに上げる方策や、
多芯化の影響などが議論された。
1P-p23 牧原(豊橋技科大):1 m長のバリア線材における長手の均質性について報告した。電流分布を 可視化するため、
Ic付近までの直流通電中にホール素子を0.2 mmステップで走査させ自己磁界Bz分布 を測定、幅方向に微分(dBz/dy)する
ことでシート電流密度分布を得る。4端子法でのIc分布と一次微 分自己磁界分布とは良く一致している。この解析から
示唆されている、バリア材の加工不良などによる均質性への影響などが議論された。
1P-p24 稲田(豊橋技科大):バリアを施したツイスト多芯線における交流損失低減の阻害因子について 報告した。
商用周波数域におけるヒステリシス損失ならびに結合損失の垂直磁界振幅依存性から、大磁 界振幅での損失成分は
主に結合損失であることが示された。試料のJcは12-15 kA/cm2と低いレベルであ り、Jcを上げた試料でのヒステリシス
損失の磁化損失への影響などが議論された。
1P-p25 森(筑波大): Bi2223のTcに対するSrサイトへの元素置換効果について報告があった。Tc向上効果が確認され
なかったCaサイトへの元素置換とは異なり、CaやBaなどをSrサイトに置換させることによっ て、Tcが最大値をとる最適
添加量が存在することを示唆する実験結果が得られている。XRDパターンより 、明瞭なc軸長の差も認められており、
相関関係を調査予定とのこと。各組成の過剰酸素量を調整後の TcのふるまいやTcが上がる要因などについて、議論が
交わされた。


交流損失 1P-p26-30 座長 馬渡 康徳

1P-p26 二口(新潟大):変圧器用の鉄心中にBi-2223/Ag線材を挿入したときの線材の交流損失について、鉄心の影響に
より大きな通電損失および磁化損失を生じることを示した。
1P-p27 小島(新潟大):交流通電および交流磁界に加えて直流バイアス電流を印加したときのBi-2223/Ag線材の交流損失
について、複雑な電磁条件により損失がどのように変化するか明らかにした。
1P-p28 谷川(九工大):積層したGdBaCuOコート線材の磁化損失について、線材3枚の損失は線材一枚の場合と無限枚を
積層した場合の理論式の中程の値となり、また高磁界中ではJcの磁界依存性を考慮する必要があることを示した。
1P-p29 林(九大ほか):TFA-MOD法で作製したYBCO線材を細線加工したときの磁化損失について、5分割により損失はほぼ
1/5になり、また異なる温度の損失曲線のスケール則が成立することを報告した。
1P-p30 山岸(横浜国大):GdBCOバルク材の側面に、GdBCO線材によるシールドコイルを付加したときの交流磁界中損失に
ついて、コイル層数による損失の変化やコイルの好ましい配置方法に関する数値計算結果を報告した。


Y系線材(1) 1P-p31-38 座長 松本 真治

Y系線材について以下の報告があった。
1P-p31 鯉田(九工大):Jcの磁場角度依存性がナノ粒子ピン導入により改善され、実験結果が
磁束クリープ・フローモデルでほぼ説明可。
1P-p32 末吉(熊本大):複数方向の1次元ピン導入が、1次元ピン固有の磁束線の運動を抑止。
1P-p33 中村(九工大):超伝導層が厚い方が、3次元ピニングの維持率増加のため、磁場によるJcの減少が小。
1P-p34 高橋(九工大):高温・高磁場領域の応用では、超伝導層が厚い方が、高磁場まで見かけの
ピン・ポテンシャルの減少が始まらず有利。
1P-p35 井上(九大):600 A/cm-w級線材のIc特性について、4-77 K、0-31 Tの範囲で明らかにし、
提案された解析解が広い温度領域に亘り実験結果と一致。
1P-p36 金光(早大):線材の劣化開始時の温度上昇による熱応力が特性劣化の要因の一つである可能性。
1P-p37 坂井(SRL):RE系線材のケーブル応用において、想定されるストレスに対して一部例外を除き
現仕様の線材が劣化しないことを確認し、仕様変更時に検査すべき試験条件を決定。
1P-p38 沖田(熊本大):非破壊・非接触・局所的測定の第三高調波電圧誘導法により、YBCO薄膜の
粒間、粒内のJcを評価。


送電ケーブル(1) 1P-p39-44 座長 大屋 正義

1P-p39 孫(中部大):大電流直流超電導ケーブルにおいて、線材Ic総和よりもケーブルIcを向上させる
設計を目指した基礎試験結果について報告。線材間ギャップや上下層の線材配位によって2割程度
Icが異なる。今後導体レベルへの発展が望まれる。
1P-p40 児島(早大):超電導ケーブルに短絡電流が流れた際に線材1本に流れる電流を解析、
その電流を模擬した線材過電流試験を実施。解析と実験を組み合わせたアプローチは価値があるが、
最終設計を意識した取り組みが期待される。
1P-p41 福本(鉄道総研):直流鉄道き電線に超電導ケーブルを適用する際の短絡電流に対する
保護を課題とし、ラミネート補強Bi線材の過電流特性を評価。ラミネート材の種類と厚さによって
尤度が異なり、線材仕様やケーブル設計へのフィードバックを行っていく。
1P-p43 浜辺(中部大):200 m直流超電導ケーブル実験装置の第二回試験の結果について報告。
第一回試験では各線材の端末抵抗の差異により偏流が発生したが、調整した今回は1.5 kA通電に成功。
鋼管断熱管を利用した電力貯蔵に関する基礎検討結果も報告。


電気機器(2) 1P-p45-47 座長 上條 弘貴

電気機器(2)のセッションでは、超電導変圧器関係2件、超電導電動機関係1件の全3件のポスター発表があった。
概要は,以下の通りである。
1P-p45:岡元(九州電力)では、Y系超電導変圧器の技術開発として、2 kA級12層2並列転位巻線のモデルコイルによる
分流特性および400 kVAモデル変圧器による短絡試験について、素線ごとの電流バラツキが抑えられた均一化の転位
手法の確立や短絡試験前後で%インピーダンス、I-V特性に変化がなく耐短絡電流機構を検証したことが報告された。
1P-p46:堤(九大)では、REBCO超電導変圧器の過大電流時の応答特性に関する数値解析コードによる短絡電流に
対する電流、巻線温度の応答特性に関する解析を行い、通電電流の解析値が実験結果と一致することや巻線温度の
上昇の見積もりが報告された。
1P-p47:友田(九大)では、REBCO超電導線材を用いた産業用を対象とした500 kW-1800 rpm超電導同期電動機に
関する検討として、空芯、2 T程度の条件における交流損失の見積もりなどを行い、使用線材が最小となる巻線構造や
30%程度の小型化ができることが報告された。


12月2日(木)
A会場 9:00-12:30

Bi系線材(2) 2A-a01-07 座長 熊倉 浩明

[2A-a01]住友電工の菊池らは「DI-BSCCO線材のIc改善状況」と題して発表した。高圧熱処理を加えることによりIc
大幅に向上するとし、最近では1 m長の線材ではあるがIc=241 Aを達成し、またJcはこれまでの
66 kA/cm2から74 kA/cm2に改善されたと述べた。キャリアドープを最適化することで更なる向上が可能であるとしている。
[2A-a02]鹿児島大の和泉らは「DCマグネトロンスパッタリング法で作成したBi2223薄膜及び後アニール処理した
(Bi,Pb)2223薄膜」と題して発表した。Bi2223薄膜をBi+Pb+O2雰囲気中でアニールすることで(Bi,Pb)2223薄膜を得ている。
c軸配向膜が得られ、Bi2223膜のTcは72 Kであるが(Bi,Pb)2223膜は105 Kと大幅に向上すると述べた。
[2A-a03]東京大の渡辺らは「Bi(Pb)2223線材のTcに対する2段階アニール効果」と題して発表した。様々な条件でのポスト
アニールを試み、温度を変えた2段階のポストアニールがPb3221相の生成を抑制し、Tcをより高めるのに有効であるとしている。
また2段階アニールした試料は超伝導転移がシャープになるとしている。
[2A-a04]応用科学研の長村らは「BSCCOテープにおける低温曲げ歪の臨界電流への影響」と題して発表した。試料は
銅合金をラミネートしたDI-BSCCOテープである。D =40 mmまで曲げてもIcは劣化しないが、曲げた
状態で180 MPa以上の引っ張り応力を印加すると劣化が始まると述べた。
[2A-a05]岩手大の廣内らは「DI-BSCCO TypeAC線材の臨界電流の応力/ひずみ依存性評価」と題して発表した。単軸
引っ張り試験、曲げ試験、ならびに横圧縮試験を行っている。引っ張り試験では0.2%を越える歪みまで、また横圧縮
試験では80 MPaを越える応力まで、IcIc0の95%以上を維持できるとしている。
[2A-a06]大同大の町屋らは「パルスおよび定常中性子源を用いたBSCCOテープ線材の集合組織測定」と題して発表した。
透過力の高い中性子線によりBi-2223テープの集合組織を調べている。典型的なc軸配向が認められ、また線材のIc
ならびにn値が大きくなるとともに、ロッキングカーブの半価幅が小さくなる傾向が認められたとしている。
[2A-a07]東京大の小畑らは「c軸配向Bi(Pb)2223バルクの微細組織と臨界電流特性」と題して発表した。Bi(Pb)2223粉末を
磁場中でスリップキャストすることにより高いc軸配向組織の焼結体が得られ、Jcも向上すると述べた。
また、SrをLaで微量置換した試料では高磁場中のJcが改善し、高磁場で有効なピン止め点の導入が示唆されるとしている。


HTSコイル保護等 2A-a08-13 座長 植田 浩史

2A-a08,a09は鹿児島大学のポインチングベクトル法を利用したHTSコイルの非接触型異常検出法に関する発表であった。
HTSコイルは、運転温度が高く比熱が大きいため、常伝導伝播がしにくい。このため、局所的な温度上昇が起き、線材を
損傷させる恐れがあり、HTSコイルのクエンチ検出と保護が課題となっている。今回、鹿児島大学のグループは、ピック
アップコイルによってHTSコイル周辺のポインチングベクトルを測定し、エネルギーフローの変化を捉えることにより、
局所的な異常検出を試みた。2A-a08では、藤岡ら(鹿児島大)が、Bi2223コイルで三点同時に計測し、異常発生場所の
特定が可能であることを示した。2A-09では、小坂ら(鹿児島大)がBi2223線材を使った変圧器(500 VA)で定格から50%の
負荷変動とコイルの異常が同時に発生した時でも、エネルギーフローの変化から異常検出が可能であることを示した。
2A-a10,a11は東芝の伝導冷却型4 T級Y系コイルの報告であった。2A-a10では、岩井(東芝)らが、人工ピン入り線材を
用いたエポキシ含浸パンケーキコイル(4積層、各111ターン)の通電特性について報告した。中心磁場は、コイル温度
20 Kで、人工ピンなしと比較して約1.6倍の2.3 Tを達成した。2A-a11では、宮﨑(東芝)らが、12積層のエポキシ含浸
Y系パンケーキコイルで、中心磁場4.7 Tの発生を達成した。
2A-a12では淡路(東北大金研)らが、RE線材を用いたエポキシ含浸コイルの高磁場(11 T)中の変形挙動をひずみゲージ
によって測定した結果を報告した。実験結果はWilsonの式による結果と週方向の変形挙動については定性的に一致し、
ため、含浸コイルが一体変形することを示唆していることを示した。ただし、径方向の変形挙動は予想と異なる結果と
なった線材剥離などで一体変形が成立しない場合など検討が必要とのことである。
以上、2A-a10~a12はエポキシ含浸Y系パンケーキコイルの発表であったが、コイル化した際の線材の剥離が課題として
認識が広まっている中、いずれも貴重な結果の報告であった。
2A-a13は石井(東海大)によるYBCOテープ線材の電流リードの報告であった。50本の線材を用いて、4 kAの通電に成功
した。電極部の発熱が大きいのでは、と指摘があったが、改善が可能とのことである。


12月2日(木)
B会場 9:00-12:15

酸化物バルク(1) 2B-a01-07 座長 山田 博信

酸化物バルク(1)のセッションでは,全部で7件の発表があった。概要は,以下の通りである。
パルス着磁関連(3件):
(1) 渦巻き型とソレノイド型のコイルについての,捕捉磁場と磁束分布のシミュレーションによる検討(2B-a01,藤代,岩手大)
(2) Gd系バルクでの,パルス着磁とゼロ磁場冷却着磁の捕捉磁場分布の比較による,ピン止め力分布の検討(2B-a02,荒屋敷,岩手大)
(3) Gd系バルクでの,パルス着磁の捕捉磁場分布と,実測した臨界電流密度分布の相関の検討(2B-a03,古田,岩手大)。
バルク作製関連(3件):
(1) Dy系,Ho系,Y系バルクでの,還元雰囲気下でのポストアニールが臨界温度の均質化やピン止め力に与える効果の検討(2B-a04,赤坂,東京大)。
(2) Y系バルクでの,CoやGaの希薄ドープが捕捉磁場,臨界温度,臨界電流に与える効果の検討(2B-a05,杵村,東京大)。
(3) Gd系バルクでの,磁性粒子の添加が臨界電流密度と捕捉磁束に与える効果についての検討(2B-a06,原(都築から変更),東京海洋大)。
着磁技術関連(1件):
高温超伝導体バルク磁石を用いた対向型の磁極装置による,フェライト磁石に静磁場着磁した際の磁極の分布の検討(2B-a07,川崎,新潟大)。


核融合 2B-a08-12 座長 吉田 清

核融合のセッションでは、2B-a08:三戸らと2B-a09:夏目らから、大型コイルの間接冷却技術開発として、ヒートポンプの
研究が紹介された。冷却パネルの向きによって自励振動が起こりにくい事象が観測された報告があった。2B-a10:西村らは、
中性子照射による超伝導特性の変化について、丹念にデータを収集されて、Nb3Sn素線は1.0x1021n/m2まで大きな変化が無く、
1.0x1024n/m2で超伝導特性が無くなる報告された。2B-a11:柳らからヘリカル型核融合装置の設計について紹介があり、
コイルをセグメント化する方法の紹介があった。2B-a12:高畑らから、LHDの超伝導ポロイダルコイルのヒステリシス損失の
測定結果が紹介され、計算による予測より大きな損失が観測された報告があった。


12月2日(木)
C会場 9:00-12:30

小型冷凍機 2C-a01-07 座長 井上 龍夫

最近は小型冷凍機のセッションは少々沈滞気味であったが、今回は蓄冷型冷凍機の基本的作動やその応用を意識したテーマなどで
充実しており、若手の発表も多く、久しぶりに活発な雰囲気を感じた。
2C-a01およびa02は宇宙用冷凍機の地上および軌道上での試験結果の紹介であった。90年代に開発された板バネおよびリニアボール
ベアリング支持によるクリアランスシール技術がリニア駆動ピストンの長寿命化技術として確立されたことを実績として示したいい
例といえよう。
2C-a03はGM冷凍機冷却による温度制御(安定化)についての発表。蓄冷型冷凍機の圧力振動に由来する温度振動は冷却ステージ材の
熱容量が小さくなる極低温では顕著になる。本発表はその温度振動を冷却ステージから冷却対象(試料)までの間に配置した熱抵抗
要素と熱容量要素の組み合わせと複数のヒータによる温調で±1 mK程度の温度揺らぎに抑えられることを示した。また各部の温度
振動の同時計測から各要素の機能や調節性が明らかにされ、蓄冷型冷凍機による精密な極低温での物性測定の可能性を示した。
2C-a04ではGM冷凍機の高効率化の一方策として作動ガスの平均圧力を通常の数倍に高めることで、圧力変動幅は維持しながら、
圧力比を低減して高効率化の可能性を実験的に検証した。まだ実験セットアップとしては条件の不確定な部分があるが、従来にない
作動条件での冷凍性能評価の試みは興味深い。
パルス管冷凍機の基礎的な試験結果が2件(2C-a05およびa06)報告された。それぞれスターリング型とGM型のパルス管冷凍機である。
スターリング型は並列の熱交換方式の2ステージ型を評価した。各パルス管部の高温端につながるイナータンスチューブを連結して
直流流れの効果も検討している。GM型では位相調節は標準的なダブルインレット方式であるが圧力変動パターンをステッピングモータ
により変更し、低圧時間を広めにすることで能力の向上を確認した。特に単段のダブルインレット方式のパルス管冷凍機で到達温度が
20 Kを切る性能は立派なものである。
2C-a07は熱音響デバイスの性能評価の報告である。直列に配置した2セットの再生器と熱交換器の各再生器に温度勾配を与え、それらに
よる仕事の増幅を評価した。各再生器での仕事増幅率が積として効果を持ち、段数を増やすことでより大きな増幅率の実現可能性が示された。


冷凍機応用/低温基地 2C-a08-13 座長 藤井 宗明

2C-a08 大学における高圧ガス管理の現状と課題
法人化後の問題点。高圧ガス保安法大学における研究実態と合わない部分が多い。
2C-a09 南極昭和基地超伝導重力計(#058)の設置
昭和基地までの輸送の困難。伝導重力計の立ち上げ。ダイアフラムにポリウレタンを用いている。
2C-a10 冷凍機伝導冷却型二酸化炭素固体プレート製作装置の構築
二酸化炭素固体プレートを利用したアイスブラスト洗浄の試み。エタノールを用いた冷却試験。
2C-a11 水素吸蔵合金タンクの液体水素蒸発ガスに対する吸蔵・放出特性に関する研究
水素エネルギー利用システムに関する研究開発。液体水素のボイルオフガスをノーマル水素と
同様に扱っても実用上問題ないことを確認する実験。
2C-a12 キャンセル
2C-a13 回転下高感度ねじり振子実験と固体He超流動と量子渦糸観測用ISSPクライオスタット
量子渦糸を観測して固体He超流動を研究するための回転可能な希釈冷凍機の開発研究。

12月2日(木)
D会場 9:00-12:30

Nb3Sn線材 2D-a01-06 座長 伴野 信哉

Nb3Sn線材に関しての発表は7件あった。Nb3Sn線材の特性改善に関しては、ジェリーロール法に関する
発表が東海大学から1件、内部スズ拡散法に関する発表が日立電線から2件、歪み特性に関しては、
東北大学から1件、原子力機構から2件であった。
東海大学の安藤らは、これまでSn-Ta、Sn-BあるいはSn-NbをベースとしたSn基合金シートを用いた
ジェリーロール法線材の作製を行っているが、今回は新しくSn-Tiロッドを巻き芯にした方法も報告された。
いずれも十分なSn供給量を有しており、化学量論性の優れたNb3Sn層が形成される。内部拡散法に関しては、
日立電線の大圃、和田山らから発表があった。従来の複雑なNbフィラメント、Snコアの構造とは異なる製法で、
Cu被覆Nbフィラメントと、同じくCu被覆Snフィラメントの単純な複合構造をとることで、製造工程の簡素化を
図った。良好な伸線加工性とJc特性を確認した。
東北大学の小黒らはSpring-8の放射光を利用した残留ひずみの測定を行った。中性子回折と同様に、残留
ひずみを高精度で観測できることがわかった。
原子力機構の小泉らは、曲げによるIcの劣化解析モデルについて提案した。今回の新しい解析モデルでは、
銅、ブロンズの剛性、また熱処理後の熱歪みも考慮した。それによってIcの曲げひずみ特性において、当初
の思惑通りHTRM(高抵抗マトリクス)モデルが妥当であることを検証した。
原子力機構の名原らは、ITER機構が定めた方法によるITER TFコイル用素線のベンチマークテストにおけて
ばらつきがあることを報告した。熱処理ボビンから測定用ボビンに線材を移し替えるときに、テープで抑え
込みながら溝に固定すると、線材と溝の間にわずかな空隙ができ、それが0.065%程度の歪み誤差を生じて
いることが報告された。


電力変換貯蔵 2D-a07-12 座長 船木 和夫

SMES用大容量Y系コイルの開発状況やSMESシステムの運用の最適化などSMES本体に関する研究結果に加えて、
変換装置の新しい方式の提案など多岐にわたる発表があり、たいへん興味深く拝聴できた。
1)回転振動を抑える低位重心タイプの超電導軸受によるフライホイール電力貯蔵装置の試作と回転実験に
ついての報告(ムハマドスブハン:九工大、他)
2)電力系統制御用2GJ級SMESの要素技術開発として、耐600 MPa応力、2 kA級のCVD-Y系線材によるコイルの
フープ応力試験や通電試験を行った結果の報告(式町浩二:中部電力、他)
3)自然エネルギー設備の出力変動に対して変動の時定数に即して水素燃料電池とSMESとを併用するシステム
について、出力変動予測手法とSMES容量との関連を議論した結果の報告(中村隆人:東北大、他)
4)省エネ化や高信頼化をねらった交流系統間の直流連系部に設置するDCリアクトル用のY系トロイダルコイル
を試作し、電力シミュレータによりコイル特性評価を行った結果の報告(津田理:東北大、他)
5)従来の遅れ位相によりSMESへの直流電力を制御する電流型サイリスタ電力変換装置に、可変直列コンデンサ
を接続した変換装置を並列接続することにより位相遅れを補償する新しい変換システムの提案(野村新一:明治大)
6)オン状態でジュール発熱がある従来のインバータ素子に対して、オン状態での発熱を極端に抑えられるY系
薄膜を用いたHブリッジ回路の超電導インバータについて検証実験と超電導特性を考慮した数値計算結果の比較
検討により動作確認と変換効率についての解析を行った結果の報告(長村光造:応用科学研、他)


12月2日(木)
P会場 ポスターセッションII 14:20-15:30

鉄系超伝導体(2) 2P-p01-02 座長 下山 淳一

2P-p01 一瀬 (電中研):Fe(TeSe)薄膜を様々な単結晶基板上に成長し、基板との格子ミスマッチに由来する歪みによる
Tc向上を図った結果を報告した。TeとSeの組成がまだ十分に制御できていないため、基板物質とTcの関係は
はっきりしていないこと、基板からの酸素の混入も課題であることを報告した。
2P-p02 向田 (九大):Fe(TeSe)系デバイスの作製を目指して、まずホモエピタキシャル成長用のFe(TeSe)
単結晶基板の育成を行っている。フラックス法により高温で育成した場合には六方晶の結晶が成長したが、
保持温度を750℃に下げて1℃/hで徐冷したところ、正方晶のFe(TeSe)単結晶が得られたことを報告した。


Y系線材特性(1) 2P-p03-07 座長 一野 祐亮

本セッションでは、MOD法によるYBCO膜作製に向けた中間層の作製、ピン止め点の導入や新規配向金属基板に関して、
計5件のポスター発表がされた。
2P-p03 向田(九大):MOD法の新規中間層としてPLD法を用いてアモルファスや結晶質のYBCO薄膜(膜厚数十nm)
を設けると、その上に良質なMOD-YBCO膜が成長することを報告した。
2P-p04 中西(昭和電線、青木氏が代理発表):スパッタ法で作製したCeO2中間層の表面形態に着目し、LMO下地層の
配向性に影響を受けてCeO2(111)が増加し、表面ラフネスが大きくなることを報告した。
2P-p05 木村(昭和電線):バッチ式MOD法で作製した(Y,Gd)BCO膜にZrを添加し、全磁場印加角度範囲にわたって
Jcが向上することを報告した。
2P-p06 魏(鹿児島大):NiめっきCuテープ上に酸素拡散の少ないY2O3中間層を作製し、その上でも良好な超伝導
特性を示すYBCO膜が得られることを示した。
2P-p07 勝目(鹿児島大):NiめっきCuテープ上にBZOを添加したYBCO薄膜を作製し、他のグループと同様に
磁場中超伝導特性が向上する事を報告した。


Y系線材特性(2) 2P-p08-12 座長 井上 昌睦

本セッションでは、Y系線材の通電特性について5件の発表が行われた。
2P-p08 鈴木(宇都宮大):スパッタ法によりSTO基板上に作製されたYBCO薄膜では、試料表面においてスパイラル成長
の他に長方形状の結晶粒が粒界付近で観測されること、当該試料のJcの角度依存性は膜面に垂直な磁場方向で大きな
ピークを示すこと、を報告した。
2P-p09 春田(高知工科大): BNOナノロッドを導入したYBCO薄膜の不可逆磁場の温度依存性と成膜温度との関係に
ついて報告した。不可逆磁場に対して最適と思われる成膜温度についてはまだ十分に把握されていないものの、成膜
温度により不可逆磁場の温度依存性が系統的に変化する結果が得られている。
2P-p10 木内(九工大):PLD法により作製されたGdBCO線材の臨界電流密度特性の膜厚依存性について報告した。膜厚
の厚い線材の方が、Jcの異方性が低減していることが示された。
2P-p11 森本(岡山大):磁性基板上に作製されたYBCO線材を2枚積層した際の通電交流損失について報告した。積層
する際の線材の向きを変えた3つのケースにおいて実験を行うとともに、有限要素法を用いた数値解析について報告が
行われた。
2P-p12 本間(ISTEC):GdBCO線材の臨界電流の温度、磁場依存性とコイル化について報告した。シングルパンケーキ
コイルにおける臨界電流分布を検討したところ、臨界電流が最小となる部位が温度によって異なることを示した。


MgB2(3) 2P-p13-18 座長 和久田 毅

MgB2の様々な製造方法についてセッションであったが、線材製作方法として期待される2件の製膜法に関する発表があった。
2P-p16:鹿児島大学からは、Alテープ上に蒸着したMgB2薄膜についての発表があった。
Alテープ上に電子ビーム蒸着によって2薄膜を形成。MgB2は2軸配向させる必要がなく容易に高Jcが得られる。
20 K, 自己磁場下では12000 A/mm2 , 20 K, 4 Tでは2100 A/mm2であり、PIT法のそれよりそれぞれ10以上、100倍以上のJc
Al上に製膜したMgB2Jc-B特性は、Si上に生成したものと同等のJcを有するが、高磁場領域において特性が大きく改善しており、
ピンニング力のスケーリングカーブ(Fp-B特性)は高磁場側にピークがシフト。新たな線材製造方法として期待できる。
2P-p17 芝浦工業大学からは、エアロゾルデポジション法によるMgB2薄膜についての報告があった。
Ad法では製膜温度を上げる必要がないため様々な基板上に製膜可能。また、製膜速度が5μm/minと高速。今回、10 mm四方の
Al2O3基板上に5μmの膜を合成、得られた膜は緻密でクラックや基板との剥離は観測されず。膜のTcは原料と同じ39 Kが得られ、
また、c軸に配向する傾向が見られるとのこと。輸送電流評価はこれからだが、新しい線材製造方法になることが期待される。

酸化物バルク(2) 2P-p19-25 座長 福井 聡

本セッションでは,高温超伝導バルクの作製や捕捉磁場特性の評価などと中心にポスターで7件の発表があった。
新日鉄の手嶋らは,改良型QMG法を用いて製作した直径46mmのGd系バルクの捕捉磁場性能の評価について報告している。
本報告によると,42 Kで捕捉磁場約9 Tを実現しており,これは4.2 K領域で13 Tの捕捉磁場性能があること等価である
という。今後,評価環境の整備を進め,高磁場補足性能の実証を期待したい。


HTSコイル(1) 2P-p26-33 座長 宮崎 寛史

2P-p26 宇都(九大):並列導体の電流均流化のための転位方法について報告があった。コイルが大型化するほど
均一になりやすいとのことであった。
2P-p27 森脇(九大):2本転位並列導体に巻乱れが生じた場合の修正方法について報告があった。
2P-p28 呂(東大):磁気浮上鉄道用にY系線材を適用した場合の設計について、コイル断面形状を変化させた場合の
体積、表面積との関係について報告があった。
2P-p29 門田(岡山大):クエンチ保護のために、ターン間絶縁をなくすことで、クエンチ時に電流分流をわざと生じ
させ温度上昇を抑制する効果について報告があった。
2P-p30 鈴木(早大):Cu線を用いたダミーコイルの伝熱試験および解析結果について報告があった。コイル端面の
接着面積を変えることで実験結果に近づくとのことであった。
2P-p31 侯(東北大):YBCOテープにIc以上の電流を通電した際の熱的安定性について報告があった。伝導冷却下で
Icの1.2-1.5倍で熱暴走するとのことであった。
2P-p32 室町(早大):SMES用コイルのクエンチ保護方法について、並列導体間の電流の差で異常を検出する保護方法に
ついて報告があった。
2P-p33 前野(新潟大):パワーメータを用いることで、簡単にコイルの交流損失を測定できるという報告があった。


コイル化技術 2P-p34-39 座長 藤吉 孝則

本セッションでは、5件の報告があった。
2P-p34:宗(KEK)らは、Super KEKB超伝導補正コイル用4極リードの開発について報告した。一度に4台の超伝導コイル
に通電可能なガス冷却式電流リードの設計と実験結果について報告し、安定して使用できることを示した。
2P-p35:佐々木(KEK)らは、PT冷凍機のコールドヘッドの振動測定および結果およびJ-PARC・MLFでの振動測定を行い、
コイル振動の磁場への影響について議論した。
2P-37:高橋(京大)らは、高温超伝導線を用いた加速器用マグネットの応用に向け、GdBCO線材の電流輸送特性を温度、
磁場、磁場角度を変化させて測定し、これらを定式化することにより加速器用マグネットの磁界設計を行った。
2P-p38:紀井(京大)らは、バルク高温超伝導体をソレノイド中にスタックしたアンジュレータを提案した。試験機に
よる動作原理の検証および数値計算による性能予測について報告した。
2P-39:田村(核融合研)らは、ヘリカル炉のマグネットと支持構造物の構造解析をヘリカルコイルを円形モデルに置き換えて
構造計算を行い、その妥当性について検証を行った。その結果、コイルの機械的挙動を評価することに成功したことを報告した。


HTSコイル(2)/LTSコイル 2P-p40-45 座長 岩熊 成卓

ここでは低温・高温超電導材料・線材を用いたマグネットの設計検討や小型テストコイルを用いた要素試験結果が報告
された。まず、HTSコイルとしては、Y系線材を用いた平滑用直流リアクトルやY系薄膜を積層したNMR用マグネットの小型
要素試験、さらに直流テストコイルの通電特性や通電損失が報告された。また、ソレノイドコイルと双極コイルの特長
を併せ持つ球形ソレノイドマグネットや、重粒子線がん治療用回転ガントリー用マグネットの設計検討例も報告された。


A15線材 2P-p46-47 座長 中川 和彦

発表は2件で、Cu-Ga粉末からのV3Ga生成に関する発表と、中性子回折によるNb3Sn線材の低温での歪測定であった。
V3Gaに関しては、次期核融合用線材として低放射化であるV3Gaの高性能化の為の、PIT法線材の組織解析に関する報告で、原料の
Cu/Ga粉末のGa濃度により、高Ga濃度ほどV3Ga生成相厚みが増加した。 中性子線によるNb3Sn線材の3次元歪測定では、
CuNb補強線材を試料として測定はできたが、事前曲げの影響を測定した結果で、同じ仕様線材において、結果に違いが測定
されており、原因を調査中とのこと。 発表件数が少なかったものの、中性子線を利用した解析は他にも発表があり、今後応力
の影響解析が進んでいくものと期待している。


12月3日(金)
A会場 9:00-11:30

HTSコイル安定性 3A-a01-05 座長 高畑 一也

本セッションでは,YBCOコイルのコイル保護および性能劣化の抑制に関する5件の発表があった。発表内容からも分かる
ように,YBCOコイルの研究課題として,熱暴走への対応と性能劣化のないコイル製作法に注目が集まっている。
3A-a01:宮崎(東芝)は,300 mm径の比較的大きな含浸コイルを作製し,熱暴走電流を高い精度で予測できたと報告した。
3A-a02:前田(理研)は,一部に劣化した部位を持つコイルの常伝導伝播特性を調べ,劣化部位に隣接する層から伝播が
開始したことを報告した。また常伝導転移を繰り返すと劣化の度合いが大きくなることを示した。
3A-a03:竹松(上智大)は,エポキシ含浸したコイルにおいて,冷却時に線材内部で剥離が生じ,特性が劣化したことを報告した。
3A-a04:柳澤(千葉大)は,線材の劈開力に対する剥離強度を実測し,横引張力に比べて小さな力で剥離が生じることを実証した。
そして3A-a03で報告されたエポキシ含浸コイルの特性劣化との関連性を指摘した。
3A-a05:中村(京大)は,長手方向のIcにばらつきがあるとコイル通電特性が劣化することを指摘した。
またコイル径方向の熱伝導を評価し,熱抵抗の大きなバッファー層等が支配的になることを示した。


Y系線材ピンニング 3A-a06-09 座長 齊藤 隆



12月3日(金)
B会場 9:00-12:00

JT-60SA 3B-a01-05 座長 小野 通隆



超電導マグネット設計解析 3B-a06-11 座長 淡路 智

本セッションでは、Y系テープ線材を用いたコイル特有の問題に関して3件、Bi系コイルに関して1件。テープ線の交流
損失抑制に関して1件、さらにBi系導体のジョイントに関して1件の合計6件の報告が行われた。高温超伝導線材のほと
んどはテープ形状を有していることから、これらを用いてコイルを作製した場合に、テープ内に誘起される遮蔽電流の
発生磁場に及ぼす影響が問題となっている。前半の2件はいずれも柳澤(千葉大)らの報告で、1件目がコイル形状の
影響について、2件目がそれを抑制する方法として磁場反転手法に関するものであった。コイル形状に関しては、
様々な形状のコイルに対する遮蔽電流の効果に関する数値計算により、コイル内径が大きく通電電流の負荷率の小さい
コイルほど、発生磁場が設計値と大きくずれると指摘した。2件目の報告では、一旦目的の磁場よりも大きい磁場まで
通電した後に下げることで、遮蔽電流の緩和を遅くすることが可能であると報告した。これは、磁場反転した場合に
試料端部に現れる磁化のピークが遮蔽電流緩和のバリアとなることで、緩和率が大きく減少すると説明した。
宮副(東大)らは、遮蔽電流の効果を調べるため、通電下で外部磁場を印加した際の電流分布をホール素子によって
測定した結果を報告した。線材に垂直に磁場を印加した場合に、通電電流ゼロの場合には、テープ幅の中心で最小
となる電流分布となるが、通電電流の増加に伴い最小を取る位置がテープ端にシフトすることが実測された。この分布
結果から求めた局所電流密度を臨界電流密度で規格化すると、磁場に寄らずほぼ同じ分布となることから、内部電流
は臨界電流と通電電流の比によって決まると結論づけた。
八尋(九州大)らは、Bi2223テープを用いたコイルを作製し、テープ面に平行方向と垂直方向の磁場による交流損失
成分をそれぞれ計算した結果を、実測した値と比較した。コイル全体では、平行磁場損失に比べて垂直磁場損失が
約2.9倍となると報告した。
安田(鹿児島大)らは、テープ面に対する垂直磁場成分低減方法として、断面がD型の直線コイルと半円コイルを組み
合わせたレーストラックコイルを提案し、2つコイルの交流損失の数値計算結果について報告した。その際、コイル巻線
密度を変化させることによって、垂直磁場の分布を制御できると結論づけた。
伊藤(東北大)らは、組み立て式の核融合用ヘリカルコイルを想定したBi2223導体のバットジョイントについて、
ジョイント部にかける応力と接触抵抗の関係ついて報告した。導体長手方向の圧力に加え、導体幅方向にも圧力を
印加することで、接触面の圧力を均一にすることが可能となり、接触抵抗の安定化が可能となるとした。
本セッションでは、高温超伝導材料のマグネット応用について、問題となっている交流損失と遮蔽電流の効果についての
報告がなされた。特に遮蔽電流の問題は剥離問題とともに深刻なだけに、材料サイドだけでなく、本セッションで議論
されたようなコイル化や運転による問題解決法の探索も重要ではないかと考えられる。さらなる研究・開発に期待したい。


12月3日(金)
C会場 9:00-11:45

送電ケーブル(2) 3C-a01-04 座長 三村 智男

セッション内では交流超電導ケーブルに関する伝熱特性ならびに交流損失計算に関する発表が計4件実施された。
3c-a01, a02 王氏、神谷氏(早大):275 kV超電導ケーブルの接続部での発生熱を加味した伝熱特性、ならびに過電流が
通電された際のIc依存率のマージンに関する報告。質問としては、短絡等の過電流が通電された際にSUS管に誘導電流が
流れるのでは?その際の発生熱が考慮されているか?という質問あり。SUS管に誘起される電流は非常に小さいと考えられ、
その際の発生熱が設計に大きく影響するとは考えづらいが、検討要素として吟味していく報告の結論となった。
また、接続部の補強絶縁厚として、20数mmとなっているように見え、ケーブル絶縁厚と変わらない設計になっているが、
実際にはさらに補強するのではないか?という質問あり。現状では、このスペックにて解析をしているとの回答。
3c-a03 八木氏(古河電工):Y系線材を用いた交流損失測定結果が示されたが、線材の幅方向均一性の問題から端部を
カットする方法によって交流損失が変化する結果が得られている。質問としては、これは線材製造時によるものなのか、
加工(カットする工程)時によるものなのか?との質問があり、線材製造時に既に分布があり、今後これを改善する方向を
目指すとの回答。
3c-a04 竹内氏(京大):Y系線材のスパイラルピッチを変化させた構造での解析(2次元、3次元)を実施した結果が報告
された。ビスマス系ではかなり検討された内容であるが、Y系でこのような解析結果は初めて報告されると思われる。
さらなる追加検討結果に興味がある発表。


電力系統応用 3C-a05-10 座長 金 錫範

本セッションでは、主に高温超電導電力ケーブル関連の計6件の研究発表が行われた。
3C-a05 我妻(産総研):短絡事故などによる過電流がHTS超電導ケーブルに流れたときの管路内の冷媒の温度挙動に
ついて自作の計算プログラムで計算した結果が実験結果と比較され、過渡的な挙動までは考慮されていなくても実際の
ケーブル内での特性が再現できると発表した。
3C-a06 Li(京大):HTS超電導ケーブルを構成している線材の一部が劣化された場合の交流損失について、異なる
層数に関する1次元数値解析結果が英語で発表された。
3C-a07 大家(住電):PLD法によるGdBCO線材による4層構造の電力ケーブルの臨界電流について、各線材が受ける
磁場の角度を考慮したJc-B-T特性が実験結果と計算値で示され、運転温度が異なるときの交流損失測定結果が発表された。
3C-a08 梁(KEPRI):韓国の電力実証試験センターで行われているHTS電力ケーブル試験状況と結果について発表が
行われ、冷凍機の機種変更理由に対するコメントもあった。
3C-a09 山田(中部大):砂漠などで使われる長距離直流送電に伴う諸問題と、それに対する対策に関する検討が行われ、
ケーブルの熱収縮対策としてバローズ管を用い、経済的観点から鉄製の配管を使うことにしている。
3C-a10 野田(京大):提案した巻き戻し構造変圧器型SCFCLの一機二回線模擬送電系統実験結果が示された。


12月3日(金)
D会場 9:00-11:45

疲労/強度 3D-a01-04 座長 西村 新

3D-a01 由利(NIMS): アルミニウム合金(A356-T6)鋳造材の20 K、77 K、293 Kでの高サイクル疲労特性について
発表した。20 Kでの疲労破壊開始点は表面付近にあり、共晶Si相内部もしくは共晶Siとα-Alデンドライトの界面から
から疲労き裂が発生しているようである。
3D-a02 由利(NIMS): 登壇申込者の小野嘉則氏に代わって共著者の由利氏が代わりに講演した。Ni基合金(718)
鍛造材の低温疲労特性に及ぼす応力比の影響を調べたもので、応力比が零のあたりで疲労強度が大きく低下しており、
修正Goodman線図よりも107回における応力振幅が小さくなった。理由は明らかではないが、疲労き裂の発生の仕方を
明らかにすることが重要ではないかとの議論があった。
3D-a03 仲井(KEK): 超伝導空洞およびクライオスタットに使用するNbやTiなどの材料の低温引張試験結果について
報告した。試験片形状はJIS 7号およびJIS 13B号試験片(板材)で、溶接継ぎ手の試験も行っている。強度のばらつきや、
材料内部の残留水素の影響などの議論があった。
3D-a04 齊藤(JAEA): ITER TFコイル用超伝導導体のジャケット材料の4 Kでの引張試験結果を報告した。試験片は
円筒状のジャケットから切り出されており、少し曲率を持った板状試験片である。試験部幅8 mmのJISに準拠した
試験片と試験部幅12.5 mmのASTMに準拠した試験片で、有意な差は認められなかった。ジャケットの要求値、耐力
950 MPa以上、破断伸び20%以上をすべて満足した。圧縮成型後超伝導生成熱処理を行った試験片では、試験片
中央部の破断面に粒界破壊が認められた。


計測・センサ 3D-a05-10 座長 木村 誠宏

計測/センサのセッションは、温度計の新規開発並びに校正評価2件、MgB2液面センサ1件、
超伝導検出器3件の計6件の講演が報告された。
3D-a05 極低温用薄膜温度計の開発の続報であった。二元化により個々のセンサのR-T特性の偏差が少なく、
代表的特性により温度換算が可能であることが示唆された。次回の学会講演では、温度計の不確かさと再現性
並びに被測定物への固定方法等についての続報を望みたい。
3D-a06 供給が停止された温度標準用ロジウム鉄抵抗温度計に変わりうるものとして白金コバルト抵抗温度計
の可能性について、温度計校正装置を用いた特性比較結果が報告された。今後の研究成果の進展を期待したい。
3D-a07  MgB2液面センサの応答性について報告された。輸送中の液体水素の液面計測に関して具体的な測定結果
が示された。加速度センサを組み<合わせる等により液面への応答特性の解析等について研究進展を期待する。
3D-a08 HTSC-ジョセフソン素子を内蔵したTHz(テラヘルツ)帯用る超伝導検出器の応答特性に関する報告であった。
講演では、センサの特性に関して充分な説明がされ、特や設計法等のさらなるの進展が待ち望ましく感じられた。
3D-a09 HTS-rf-SQUIDセンサを用いた超低磁場1次元MRIに関する研究について報告された。2分割構造のサンプル
内の水から得られたプロトンの強度分布信号が示されるなど興味深い報告であった。S/N比の改善や2次元検出への
研究進展を期待したい。
3D-a10  HTS-SQUIDグラジオメータを用いた非破壊検査に関する研究について報告された。検出に用いた検査用
サンプルから得られた電流分布の可視化画像など前報に続いて興味深い報告であった。今後の研究進展を期待する。